アストラゼネカのコロナ抗体カクテル、業績に寄与との見方

モルガン・スタンレーの試算によると、英製薬大手アストラゼネカが開発する新型コロナ抗体カクテルは同社の2021年の利益を30%押し上げる可能性がある。7日付のリポートで明らかにした。

コロナウイルスの予防・治療薬である抗体カクテルは2種類のモノクローナル抗体を組み合わせたもの。感染予防効果の持続期間が比較的長いとされる。アストラゼネカは11月、抗体カクテルの後期臨床試験(治験)を欧米で計5000人の被験者を対象に開始したと発表した。モルガンによると、治験の結果は21年初めに発表される可能性がある。

アストラゼネカは最近、米政府と抗体カクテル10万回分を年内に供給することで4億8600万ドルの契約を交わした。さらに100万回分を21年に供給するオプションが含まれる。また、英政府とも100万回分を供給することで合意しているという。

モルガンは抗体カクテルを用いた治療1セットに要する金額を1500ドルと推定する。

抗体カクテルはワクチンよりも広く受け入れられる可能性がある。モルガンは、ワクチン懐疑派による「反接種運動」の広がりは、アストラゼネカにとってはむしろ強材料としている。

アストラゼネカが抗体カクテルの開発に成功すれば、21年の利益は30% — 30億ドル — 押し上げられる可能性があるとモルガンは予想する。

アストラゼネカのワクチン
アストラゼネカは11月、英オックスフォード大学と共同で開発中のコロナワクチンについて平均70%の効果が確認されたとの第2/3相臨床試験の中間分析結果を発表した。

それによると、最初に1回分の半分の量を投与し、1カ月後に1回分を追加したグループ(約2700人)で90%の効果を確認。一方、2回分を1カ月おきに投与したグループ(約8900人)は62%。平均では70%の効果を確認したという。

しかし、その後に90%の効果があったグループについて、本来は最初に1回分を投与する過程を、誤って半分の量を投与していたことが分かったという。アストラゼネカは追加治験を実施し、投与量が少ない方が効果が出たことについて確認するとしている。

データの信頼性やファイザーとモデルナのワクチンよりも低い有効性のせいで、アストラゼネカのワクチンを巡り投資意欲が掻き立てられているとは言い難く、パンデミック終えん前にワクチンが同社の利益に貢献することはないかもしれないとモルガンは指摘。一方、投資家は間もなく発表されるとみられる最終分析を待っているという。

バリュー株へのシフト
このほかモメンタム株からバリュー株への資金シフトや通貨ポンドの上昇、がん治療薬の好調もまた同社の業績を支える可能性が高いという。

モルガンはアストラゼネカの目標株価を94ポンドから99ポンド、投資判断を「イコールウェート(中立)」から「オーバーウェート(買い)」に引き上げた。

7日の英株式市場でアストラゼネカは前週末比1.52ポンド(1.91%)高の81.10ポンドで終えている。