変異株に有効なワクチン「秋までに用意」

イギリスのオックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン開発チームは3日、世界各地で拡大している変異株に有効な新たなワクチンを、今秋までに用意できそうだとの見通しを示した。

オックスフォード大学のアンディ・ポラード教授は、ワクチンの微調整は比較的早く進められると説明。ワクチンを展開する前に小規模な臨床試験だけが必要になるとした。

イギリスで1000万人以上がワクチン接種を完了する中、変異株対応のワクチンについて可能性が示された。

既存の新型ウイルスワクチンが変異株にも有効であることを示す強力な証拠もあるが、総合的な有効性はやや弱まる可能性がある。
オックスフォード大学とアストラゼネカの開発チームは1日、共同開発した既存のワクチンについて、接種すれば感染拡大を「大幅に」抑え込める可能性があるとする研究結果を査読前論文ウェブサイトSSRNに投稿した。この論文は正式には発表されていない。

オックスフォード/アストラゼネカ製ワクチンは、1回目の接種から3カ月間は76%の効果を維持できるという。現在開発されている新型ウイルスワクチンの多くは、十分な免疫効果を得るために2回の接種を必要としている。

また、他人への感染を最大67%防げることが示されたとしている。

新型ウイルスワクチンが感染抑制に与える影響は未知数で、その効果次第で将来のパンデミックが劇的に変わる可能性がある。

感染拡大を防げるのかワクチンが感染抑制にどのような影響を与えるのかは極めて重要なポイントだ。

ワクチンを接種しても、重症化を防ぐだけで、ウイルスに感染して他の人にうつすのを防げないのであれば、すべての人が接種しなくてはならない。

しかしワクチン接種でウイルスの拡散そのものも防げるのであれば、接種した人が間接的に他の人を守ることになり、パンデミックに与える影響ははるかに大きいと言える。

同チームの研究では、綿棒を使って参加者の体内のウイルスの有無を毎週調べた。ワクチンを2回接種したところ、陽性者の数が半減したという。

報告書は「このデータは、(ワクチン接種で)感染者の数を減らすことで、感染拡大に大きな影響を与えられる可能性があることを示している」としている。

「極めて素晴らしい」結果ワクチン接種が感染拡大を防ぐとする研究結果について、マット・ハンコック英保健相は、ワクチンが「このパンデミックの出口」であることを示す「極めて素晴らしい」結果だと述べた。

一方で、ワクチンメーカーが新型ウイルスの感染拡大に遅れを取らないように取り組まなければならないという「継続的な課題」があるとした。

イギリスは他国とはかなり異なったかたちでワクチンを展開している。2回目の接種時期を遅らせ、できるだけ多くの人に1回目の接種を行うことを優先している。

ハンコック氏は、1000万人が1回目の接種を完了したことは「非常に重要な節目」であり、「1つ1つの接種が我々全員に少し安全な状況を与えてくれる」とツイートした。

変異株に有効なワクチンの開発ワクチンをめぐっては、南アフリカで見つかった変異株に完全には効かない可能性が示されていることが、最も懸念されている。この変異株は、すでにイギリス国内の一部でも広がっているとみられる。

南アフリカで見つかった変異株にみられる「E484K」と呼ばれる突然変異は、イギリスで見つかった変異株からも検出されている。

ポラード教授は、開発チームが既存のワクチンを修正し、こうした変異により有効なワクチンをつくろうとしていると述べた。

「新たなワクチンを設計するための実際の作業は、非常に、非常に早く終わると考えている。基本的にスパイクタンパク質の遺伝子配列を入れ替えるだけなので」

「その後、ワクチンの製造と小規模な試験が行われる。これらの作業はかなり短期間で完了できる。今秋には新たなワクチンが使えるようになる」

新しいワクチンがどのように投与されるのかは明らかになっていない。1回分の追加接種というかたちで展開され、その後は1年ごとに更新・展開されていく可能性がある。

アストラゼネカのバイオ医薬研究開発を率いるサー・メネ・パンガロスは、「次の冬が近づくにつれて必要になるかもしれない予防接種の準備を行うことが、我々の目標だ」と付け加えた。

また、それまでに工場が完全に稼動していれば、製造も容易になるとした。

新たなワクチンの臨床試験は、安全性の確認と、血液検査による免疫反応の確認のみ必要となるため、数百人を対象とした小規模なものになる可能性が高い。