英法案、下院通過の公算 EU首脳は協議へ 離脱協定

英国の欧州連合(EU)離脱に伴って1月末に発効した国際条約「離脱協定」の主要部分をほごにしようとする英政府の法案は、月内に下院を通過する公算が大きくなってきた。

 「国際法違反だ」と反発するEUは来月1、2両日の首脳会議でこの問題を協議する予定で、双方の駆け引きが激しくなりそうだ。

 法案は14日に下院で基本方針が承認され、可決への最初の関門を突破した。当初、審議は1週間程度での決着が見込まれていたが、下院の単独過半数を握る与党保守党で造反の動きが表面化。政府は懐柔に向けて修正案をまとめ、29日の法案採決を提案した。

 修正案は、政府が協定破りを実行に移す際の要件として、下院による事前承認を掲げている。造反組の主要メンバーの要求をジョンソン首相が受け入れた形で、これにより法案は下院で否決される可能性が低くなった。

 一方、昨年までの在任中に離脱協定の取りまとめに尽力したメイ前首相は、法案への反対を貫く構えだ。21日の審議では「政府か議会かは外国にとって重要でない。国際法を犯すという点に変わりはないからだ」と主張した上で、「英国への長期的な悪影響を一顧だにせず、無謀で無責任な行動をしている」とジョンソン氏を批判した。

 法案成立には上院の承認も不可欠。上院には反対派が多く、審議はもつれる見通しだ。ただ、非公選の上院議員は下院の意思を最終的に尊重するのが慣例で、「徹底抗戦はしない」(英メディア)とみられている。

 ジョンソン氏は「法案を承認すれば(EUとの)自由貿易協定(FTA)がまとまる可能性は高まる」と話しており、停滞したFTA交渉でEUの譲歩を引き出す圧力として法案を利用する狙いが鮮明になっている。裏を返すと、政府はEUとの話し合いがまとまりさえすれば、法案を成立前に撤回するという選択肢を残しているようだ。